社労士コラム

副業・兼業の解禁について

長時間労働による過労死や未払い残業代が社会問題化していますが、働き方改革の中で安倍内閣が【副業解禁】を推奨しています。現在、厚生労働省がモデル就業規則において副業を解禁する改定を検討しています。

多くの企業は副業・兼業を禁止していますが、一方で副業・兼業を希望している人は増えています。残業が少なくなり、手取り収入が減った分を補うことを目的とする人もいれば、資格を活かしたり、また、キャリアアップを図ることを目的としている人もいます。

企業が副業・兼業を認めない理由として、従業員の業務がおろそかになること、情報漏洩のリスク、競業・利益相反などがあげられますが、人材不足の中で、終身雇用や年功序列に固執せず、柔軟な採用基準、人事制度、労務管理体制を築いていく必要があります。今後、企業はあらゆる働き方に対応していかなければ、人材採用が困難となっていきます。

但し、副業・兼業の解禁において以下のことが懸念されています。

1.長時間労働の増大

2.労働時間管理、給与計算が困難となる。

※労基法では、本業、兼業のそれぞれの労働時間を通算することになっています。例えば、同日に本業で7時間働いた後に、副業で3時間働いた場合、副業の企業では通算労働時間が8時間を超えるところから割増賃金が発生します。従って、適切な労働管理、賃金計算をするためには、本業の企業も副業の企業もそれぞれの労働時間を把握しなければならないわけです。

3.労働保険、社会保険の適正な手続きがされない。

※労災保険は、本業、兼業のどちらの企業でも加入となります。※雇用保険は、本業も兼業もどちらも加入要件を満たした場合、主たる賃金を受け取る企業のみで加入となります。※健康保険、厚生年金保険は、本業、兼業どちらも加入要件を満たした場合、どちらも加入にかかる手続きが必要となります。

 

今後、働き方の多様化に伴い、企業も労働者自身も上記の懸念事項に適切に対応していく必要があります。適切な安全衛生管理、労働時間管理を実現しない限り、働き方改革は将来に向けて進むことなく、絵に描いた餅となってしまいます。

 

 

 

 

 

 

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